(c)中神エマ宅建士研究所 (c)世えり子
→ 中神エマ宅建士らぼトップ → 中神エマの出版物のご案内 → キャラクター紹介 → 宅建士Q&A → ギャラリー
ビジュアル宅建士 宅建士試験Q&A

 宅建士試験合格のためには、まずは基本事項の理解から。「2018年度版 エマ先生とえりこのビジュアル宅建士テキスト」のシリーズのエッセンスをまとめた基本講座です。項目は、順次追加UPしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
基本講義1:【権利関係@】意思表示って?
基本講義2:【権利関係A】代理って?
基本講義3:【権利関係B】物権・物権の変動って?
基本講義4:【権利関係C】対抗要件って?
基本講義5:【権利関係D】共有・マンション法って?
基本講義6:【権利関係E】抵当権(担保物権の1つ)って?
基本講義7:【権利関係F】売買契約:売主の担保責任って?
基本講義8:【権利関係G】売買契約:債務不履行・契約解除って?
基本講義9:【権利関係H】請負契約:請負契約ってどんなもの?
基本講義10:【権利関係I】賃貸借契約:賃貸借契約と借地借家法って?
基本講義11:【権利関係J】保証契約:連帯保証と連帯債務って?
基本講義12:【権利関係K】相続ってどんなもの?

基本講義1:【権利関係@】意思表示って? +α:イメージほか

意思表示は、”内心の意思”を相手に表示して伝える行為!

意思表示のうちで、心裡留保とは、“じょうだん”ということです。冗談で、「自分の所有している土地を、安く売りますよ。」と、相手に伝えたとしまして、相手が本気に捉えてしまったと。このような冗談は原則有効、相手方が悪意又は有過失であれば無効です。

次は通謀虚偽表示(相手と示し合わせた、仮装の契約行為のことなのデス)です。 通謀虚偽表示の例としましては、例えばある土地を所有しているA子が、B子から多額の借金をしているときに、どうにもその土地以外に、もはやめぼしい財産がないという場合、B子がこの土地に目を付けてしまってはやばい、と感じたA子が、財産隠しで仲間のC子に架空の売買契約を持ちかけて、その土地をC子名義に移転させて、一芝居打ったといたします。ほとぼりが冷めた頃、A子はC子から土地を返してもらおう、というわけです。このような契約は、そもそも無効ですが、そこは悪巧みをしたA子の仲間であるC子にも抜け目はありません。C子は、自分にその土地の名義があることを良いことに、何にも知らない善意(※)のD子に、その土地を売却して逃げてしまいました。青くなったのはA子です。さて、A子は、A子とC子の間の契約の無効をD子に主張して、土地を返してもらえるでしょうか?

答は、×です。どう比べても、悪いことを考えたA子よりも、善意のD子を保護するのは当たり前のことです。

 更に、その第三者が悪意だった場合はどうでしょうか。A子とC子の間の土地売買契約が無効であることを知っていて取引に入ってきた、ということですね。この場合は、その第三者は全然かわいそうではありませんので、保護されません。

さて次、錯誤(さくご)とは、勘違いのことです。人間誰でも、勘違いをするということは考えられますし、わざと勘違いをして自分に不利益な契約を結ぶといったことはありませんので、錯誤による意思表示は無効とされています。しかし、意思表示の表意者に重大な過失があって錯誤の意思表示を行なったという場合は、例外的に表意者からその意思表示の無効を主張することはできません。ケースバイケースで考える、ということです。

※【善意】ある事実を知らないこと。 【悪意】ある事実を知っていること。

<<<事例でマスター! 制限行為能力者〜意思表示>>>


【心裡留保】
善意の第三者には、無効を対抗できません!!


【通謀虚偽表示】
善意のD子には、無効を対抗できません!!


【錯  誤】
表意者が善意・軽過失だったときは → 重過失ではないので、錯誤による無効を主張できます!!
▲このページのトップへ

基本講義2:【権利関係A】代理って? +α:イメージほか
詳しい人に、代わりにやってもらいたい!

代理とは、何でしょうか。人間は基本的には、自分のことは自分で行なうということ、そしてその効果はもちろん自分自身に対して生じますし、責任も自分にかかってくるのですが、例えば自分が苦手な分野の事柄を行なわなければならないときに、自分よりも詳しい人に、代わりに処理してもらえるとありがたいですね。それが、代理の制度です。

例えば、C子が自己所有の土地を売却したいと考えたときに、まずは相手を探すのが大変、いざ売却先の宛ができても、相手方のほうが場慣れしていてうまく値切られてしまいそうだなあというような場合に、土地取引に詳しくて経験もある人物を代理人に立てて、交渉してもらうというようなことです。

A子とB子が法律行為(契約)を行いました。その効果は、A子とB子において生じます。これは、当たり前の話です。また、A子とC子が法律行為(契約)を行いました。その効果は、A子とC子において生じます。これも、当たり前の話です。では、A子がC子の代理人として、B子と法律行為(契約)を行いました。この場合、契約の効果は、誰にどのように生じるのでしょうか。

この場合は、契約の効果は、A子が実際にB子との間で契約行為を行っているのですが、契約の効果は、C子とB子の間で生じるのです。ナンデデショウ? A子は、C子の代理人として、B子と契約をしたからなのです。

A子がC子の代理人として有効にB子と契約するための要件ですが、けっこう当たり前のことですが、「私(A子)は、C子の代理人として契約に来ました」とB子に対して名乗ることです。これを「顕名」といいます。顕名をしませんと、当然ですがA子自身が契約をするのだなと、B子は思ってしまいますので、契約の効果も、A子とB子の間で発生するということになってしまうのです。
上記の例では、C子は契約の本人、A子は代理人、B子は契約の相手方という位置づけになります。代理人が顕名をして相手方と契約すると、その契約の効果は直接本人に生じます。

<<<事例でマスター! 代理&無効と取消&時効>>>


【代理制度】
苦手なことは、代理人に依頼しましょう! きっと、やってくれますよ...


【無権代理人】
「無権代理人」とは、代理権を持っていないのに、相手方に本人の代理人だと称して契約を結んだりするものです。もともと代理人ではないから、本人にはなんら契約の効力は及びません(契約は無効)。

【表見代理】
一見有効そうに見える無権代理を「表見代理」とよびます。表見代理は、無権代理の一つですが、通常の無権代理と異なり、無権代理人が代理人と誤認される条件があったときに成立します。
表見代理は、“本人にも相手方に対してなんらかの責任がある”として、契約の相手方が善意無過失であれば、無権代理行為の原因を作った本人にも責任を負わせよう(=有効にする)というものです。
▲このページのトップへ

基本講義3:【権利関係B】物権・物権の変動って? +α:イメージほか
A子の物が、B子の物になるメカニズムはこんなです!

「物権」とは、物を直接かつ独占的・排他的に支配する性質の権利です。 有名な物権として、「所有権」や「抵当権」があります。
不動産の物権の変動ということで、所有権の移転についてどのような効果が生じるのかを、お話していきます。

ある品物について、売主が売りたいという意思表示をして、買主が買いたいという意思表示をすると、それぞれの意思が合致しますので、そこで売買契約の成立という法律効果が発生します。 土地の売買契約も、大根1本の売買契約も、法律的な効果の発生については同じ理屈です。しかし、土地などの不動産の売買契約ともなりますと、たいへん高額の取引になりますので、口約束だけでは、後々のトラブルの基です。そこで、契約書を作ったりするのですが、法律的に見れば契約書作成は付随のものであり、最初の意思表示をした段階ですでに契約は成立しているんだ、所有権も、移転しているゾ♪と、こういうことになりますので注意してください。

この、土地や建物などを売り買いした場合、所有権の移る時期は、原則として売買契約の意思表示を行った時点となります。例えばA子とB子が建物を売り買いした場合、原則としてその契約の意思表示を行った時点で所有権は移転するわけです。まさに、意思表示により契約は成立するという話です。

しかし、そうして所有権が移転したとしても、傍目からはそのことは分かりません。そこで、不動産については、所有権移転などの権利の変動があった場合は、登記簿に登記事項を記録することで、権利変動を当事者以外の第三者に対抗(主張すること)することができるようになります。

逆に言いますと、取引の当事者の間では、登記をしなくても権利の変動は有効ということです。試験問題で「債務者A所有の土地に、債権者Bの抵当権を設定する場合、その旨の登記をしなければ、Bは抵当権をAに対抗できない」というような記述が出た場合、この記述は誤り、ということになります。このようなひっかけ問題は、よく出題されるところです。

相隣関係〜お隣さん同士、仲よくするためのルール!

土地というものは、当たり前の話ですが正に“地続き”です。お隣同士では、お互いに譲るところは譲ってやっていかなければ、平穏な日常生活は送れません。その様な部分を民法上で面倒を見ている項目が、「相隣関係」ということになります。

 「隣地から自然に流れてくる水については、受忍(がまん)しなければならない。」「境界から1m未満の距離内にお隣が覗けてしまうような窓を造ろうとする際には、目隠しを付けなければいけない。」など、まあそうだろうな、というような内容が定められております。変わったところでは、「隣地から境界を越えて伸びてきた竹木の枝は、切るように請求できる。」という規定があります。自分で切ってはいけないんですね。しかし、「隣地から境界を越えて伸びてきた竹木の根は、自ら切ることができる。」ということになっているのです。過去問でも、何回か出てきた項目です。


<<<過去問練習! 所有権関連!!>>>


【所有権】
所有権は、物に対する独占的な権利!


【地上権】
地上権は、他人の土地において、建物や電柱、橋などの工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利です(民265)。

【地役権】
地役権は、他人の土地を自己の便益に供する(自分のために役立てる)ための権利で、土地と土地との間の利用関係を調整するための物権です(民280)。
よくある地役権としては、「眺望地役権」や「通行地役権」などがあります。
▲このページのトップへ

基本講義4:【権利関係C】対抗要件って? +α:イメージほか
自分の権利をきちんと主張するための方法は!

対抗要件とは、何でしょうか。対抗とは、“主張”することです。「自らの権利を主張するための要件」ということで、押さえていきましょう。宅建士試験では、「物権変動の対抗要件」として、土地の所有権移転に絡んで事例問題で出題されることが多々あります。

 A子所有の建物を、B子が買いました。傍目には、A子とB子の間で売買契約が締結され、その更地の所有権がB子に移転したということは分かりません。B子が、「この建物は私のものですよ〜」ということを他人に主張するためには、どのような要件が必要なのでしょうか。

B子が、A子に対して「この建物は私のものね」というのであれば、そもそもA子はこの建物の売買契約の売主であり当事者なのですから、改めてB子がことさらリキんで主張しなくても、充分にB子は自分の権利(移転した所有権)を主張できます。ここで重要な対抗要件とは、A子とB子との間の売買契約について当事者ではない第三者(例えば、A子から二重にその建物の譲渡を受けた買主C子)に対して、B子が如何にして自分に所有権が移転していることを証明するのかということになります。

B子が取り得る第三者(C子)に対しての対抗要件は、「所有権の移転登記」です。建物に対する「権利の登記」として、登記記録に所有権その他の権利を登記することで、不動産の所有権その他の権利が公示されます。B子は、A子から建物を購入したら、A子名義になっている所有権登記を自分の名義に移転登記を行います。移転登記を行いませんと、B子は二重譲渡を受けた第三者C子に対して、自分に所有権が移転したことを主張できません。

A子が悪い人間で、B子とC子それぞれに売主として二重に売買を行っていたとすると、その決着は、登記の有無によって決せられるのです。また、第三者C子から見た場合、A子から売却の話を持ちかけられた際に、その建物の所有者は誰なんだろう、本当にA子の建物なのかな、ということが、その建物についての登記記録を確認すれば分かるんだ、ということになります(未だA子に登記が残っていたとしたら二重譲渡の場合はB子とC子の競争になるわけですね)。

さて、所有権の登記がありませんと、その建物の所有権を第三者に対抗できないんだということですが、例外的に、登記が無くても対抗できる第三者がいます。実は、この第三者について、宅建士試験にはよく出題されるのです。そのメンバーとしては、@不法占拠者A背信的悪意者B無権利者 などなどです。

<<<事例でマスター! 対抗要件って何!?>>>


【登記なしでも対抗できる第三者】
不法占拠者・背信的悪意者には、登記がなくても所有権を対抗できる!
▲このページのトップへ

基本講義5:【権利関係D】共有・マンション法って?  +α:イメージほか
共有(所有権の特別な形)とは!

一つの物を数人で所有するために、それぞれ「持分」を有することをいいます。各共有者が共有物を使用するには、共有物の全部につき、その持分に応じて使用することができます。

建物区分所有法(マンション法)とは!

この法律の正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」、いわゆるマンション法ともいわれるものです。毎年1問出題されています。 そう、この建物区分所有法は、民法の共有の特別法なのです。

区分所有建物(マンション)とは、どういうものでしょうか?一棟の建物の中に、複数の分譲される部屋が入っているわけです。建物全体を見ると一つの建物なのに、その中に、構造上区分されたたくさんの 独立した住居、店舗、事務所、はたまた倉庫といった建物としての用途に使えるものが入っています。この一つひとつが所有権の目的となります。また、区分所有建物には「敷地」も必要だということを忘れないでくだ さい。

自分で使うマンションの部分は、「専有部分」、みんなで使うマンションの部分は、「共用部分」といって区別されています。マンション内の自分で使う個別の住戸は専有部分ですし、廊下や階段、エレベーター室などは、共用部分ですね。

先ほど出てきた“廊下や階段、エレベーター室など”は、法律上の共用部分なので、特に「法定共用部分」といっています。これに対し、専有部分や附属の建物を規約により共用部分とすることが できます。管理人室や集会室、娯楽室などです。これらを一般に「規約共用部分」といって区別しています。規約共用部分は、その旨の登記をしなければ、第三者に対抗することができません。

さて、マンションの所有者になると、自動的に区分所有者の団体である「管理組合」の一員となります。管理組合は、マンションの区分所有者で構成される団体で、集会を開き、規約を定め、そのマンションの管理や修 繕計画の策定などを行います。分譲マンションの各戸の区分所有者は、区分所有法上当然に、そのマンションの管理組合に属します(自分は入りたくない! と思っても、ダメ)。 したがって管理組合からの脱退は、所有者である以上できません。

【共用部分の変更】
形状又は効用の著しい変更を伴う共用部分の変更──このような大幅 な変更は、区分所有者及び議決権※の各4分の3以上の多数による集会 の決議で決めます。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半 数まで減ずることができます。
※議決権は、原則として“専有部分の床面 積の割合”により決められます。

▲このページのトップへ

基本講義6:【権利関係E】抵当権(担保物権の1つ)って? +α:イメージほか

抵当権の役割!

抵当権の出題も、宅建士試験の常連であるといえるでしょう。ナンと2問も出題されることも。今年も2問出るかどうかは微妙ですが、重要な項目であることは確かです。

抵当権は、不動産の占有を移さないで担保に供することができる点がその特徴です。債権者と不動産所有者(債務者以外の第三者でもよいのです)の間の合意で成立する約定担保物権です。目的物の引渡しを要しません。第三者への対抗要件は、登記です。

抵当権の目的物は、民法上は、土地・建物並びに地上権、永小作権です。

抵当権の活用として、例えばお金を借りる際に、自己が所有する土地や建物に債権者のために抵当権を設定して、借金の担保とすることが考えられます。

抵当権者は、債務の履行がない場合(貸したお金を返してもらえなくなった等)、抵当権を実行して、抵当物件を競売にかけて、その競売代金から優先的に弁済を受けることができます。

抵当権を設定するケースとしては、自分がお金を借りるという場合に限られません。他人の債務に対して、自己所有の土地建物にその債権者のために抵当権を設定するということもあります。これを物上保証と言います。

被担保債権は、金銭債権に限られません(金銭による損害賠償に変わりうる債権であればオーケーなのです)。
債権の元本の他、原則として最後の2年分の利息・損害金を担保します。

【抵当権設定者】
抵当権を設定した者(債務者、お金を借りている者など)


【抵当権者】
抵当権を持っている者(債権者など、お金を貸している者)


【弁 済】
債務を履行し、債権を消滅させること(借りたお金を返す、など)


【付従性】
抵当権は、その保証する債務が消滅すれば、消滅します。
▲このページのトップへ

基本講義7:【権利関係F】売買契約:売主の担保責任って? +α:イメージほか

売主の瑕疵担保責任とは!

例えば建物の売買契約を締結しますと、売主にはその建物を引き渡す義務が発生し、買主には代金を支払う義務が発生します。買主は、最終的には代金を全額きっちり支払うのですから、売主側の責務としては、代金に見合ったきちんとした状態での目的物を引き渡さなければなりません。建物の土台が腐っていたとか、シロアリに喰われていたとか、その様な瑕疵(隠れた瑕疵)があった場合に誰が責任とるの、売主でしょ!というのがこの「売主の瑕疵担保責任」というものです。

売主が「建物の土台が腐っていたなんて、知らなかったよ」と言ったとしても、買主は完全なるものとしてその分の建物代金を支払うのですから、売主はきちんとした建物を引き渡さなければいけないし、その建物に「隠れた瑕疵」があったということであれは、その分負担しなければならないのです(無過失責任)。

「売主の瑕疵担保責任」は、民法上、特約をもって売主の責任を排除することもできます。しかし、知っていて黙っていた(建物の土台が腐っていたことを知っていたけど、ばれるまで買主に黙っていたなど)ような場合までは免責されません。

【買主のできる事】
瑕疵物件と知らずに買った買主は損害賠償の請求をすることができ、また、そのために買った目的を達成することができないときは、契約の解除もすることができます。



▲このページのトップへ

基本講義8:【権利関係G】売買契約:債務不履行・契約解除って? +α:イメージほか

債務不履行と契約解除について、知りましょう!

契約は、一旦成立したら、その内容にしたがって契約履行をしなければなりません。契約という約束を果すということですが、契約を解除してなかったことにすることも可能です。解除権を行使しますと、契約は解除されます。契約の当事者は、原状回復を行なわなければなりません。売買契約の場合であれば、売主は、代金を受け取っていれば、返還しなければなりませんし、買主は、品物を受領していれば、やはり返還しなければなりません。もとの状態に戻すということですね。

さて、解除権には、契約とあわせて解除について定めておく場合もあれば(約定解除権)、債務不履行の結果解除権が生じるなど、法律上解除権が発生する場合(法定解除権)もあります。

債務不履行については、「履行遅滞」と「履行不能」、「不完全履行」というものがあります。「不完全履行」というのは、履行はしたけれど、注文品と違う商品を納品したり、注文数より納品数が少なかった場合など、債務の履行の本旨に基づいて、きちんと履行ができたとはいえない状態をいいます。そこで、完全に履行がなされるよう、債権者は債務者に対して請求ができるのです。

「履行遅滞」と「履行不能」、「不完全履行」をされてしまった債権者側としましては、どのような対処法があるでしょうか。「履行遅滞」であれば、早く履行するように請求できますし、遅れたことで損害が発生したという場合には、損害賠償請求ができます。また、契約解除権が発生するので、一定期間を設けて履行をする旨請求して、それでも履行がなされないのであれば、契約を解除することができます。

「履行不能」の場合はどうでしょうか。この履行不能の場合は、もはや催促しても、意味がありません。例えば、売買契約の目的となっている建物が、引き渡す前に、売主の寝たばこが理由で焼失してしまったという場合は、もう建物がないのですから、「早く引き渡してチョーダイ!!」と催促しても、全く意味はないのです。そこで、この場合は、損害賠償請求と、契約の解除でけりをつけようということになります。契約解除を行うにしましても、「履行遅滞」の場合のように、一定期間を設けて履行を催促する必要はありません。待っていても、状況は変わりませんので、即、契約解除ができるのです。

さて、「債務不履行」によって、債権者側に損害賠償請求権が発生します。債務の本旨にしたがった履行がなされなかったことで、損害が発生したためにそれを 債務者が賠償することになるのですが、この損害賠償額をあらかじめ契約内容で定めておくことができます。これが、「損害賠償額の予定」というものです。これを定めて おきませんと、損害の発生や契約の違反の際に、実損額について算定と立証をしなければならず、場合によっては時間もかかりますし大変面倒な事態も生じるでしょう。 そこで、契約で損害賠償額の予定を定めておくことで、実際に発生した損害額に関係なく、あらかじめ定めておいた額により損害賠償がなされるということになるのです。

便利な話ではありますが、たとえ実際の損害額が、損害賠償予定額よりも多かったとしても、予定額しかもらえません。逆に、実際の損害額が損害賠償予定額よりも少なくても、予定額までもらう ことができます。

【履行遅滞】
履行期に履行が遅れること。



【履行不能】
債務を引き受けたときは履行可能であったが、履行期に不可能にしてしまったこと。



【不完全履行】
履行はしたけれど、注文品と違う商品を納品したり、注文数より数が少なかった場合など、本旨に基づいた債務の履行が、きちんとできていない状態。



▲このページのトップへ

基本講義9:【権利関係H】請負契約:請負契約ってどんなもの? +α:イメージほか

請負契約は成功報酬なのです!

請負とは、契約の一種で、ある仕事を完成させることを目的とした内容であり、その仕事の完成後に、その仕事の結果に対して(建物を建てるという内容の契約であれば、完成した目的物を引き渡すこと)請負人は注文者に対して報酬を請求することができます(報酬の請求時期は引渡と同時)。

成功報酬を請求することになりますので、その仕事がきちんと仕上がりませんと、報酬を請求することはできません。途中で仕事を投げ出すということもできません。仕事の完成そのものが、請負契約の目的である訳ですので、請負人としては、いくら努力してその労働力を提供したとしても、仕事自体が完成しなければ何の評価もされず、報酬も請求できないということなのです。

さて、C子はB子に頼まれて、建物を建てるという請負契約を締結しました。B子は、新居を建てたいということで、C子に依頼して建物建設の請負契約を締結したのです。そしてめでたく建物が完成したのですが、困った問題が出てきました。

B子は、この建物を建てる際に、材料として五寸釘を使用して欲しくてその旨指定したのですが、C子はうっかり違う寸の釘を用いました(建物全体の強度的には、問題はないものとします)。B子は不満でしたが、建物全体の釘を、指定通りの五寸釘に全て交換するとなりますと、大変な費用がかかります。

請負人であるC子には、「請負人の担保責任」がありますが、当該欠陥が重大なものではない(建物全体の強度的には問題なしだったので)場合は、欠陥の修補は例外的に免除されます。この場合は、B子は、欠陥の修補の代わりに、C子に対して損害賠償をすることで対応することになります(民法634条)。

さて、上記の例では、その欠陥が重大なものではなかったという話でしたが、例えばその欠陥があるために、契約をした目的を達成できないような場合(その建物に住めないような欠陥:雨漏りが酷いなど)であったらどうなるでしょうか。その様な場合は、注文者は、その請負契約を解除できるというのが原則なのですが、特にその目的物が建物・土地上の工作物であった場合には、契約の解除はできません。解除を認めますと、建物等を取り壊さざるを得なくなり、社会的な損失が生じるということで、よろしくないということなのです。この場合は、注文者は、損害賠償請求と修補請求で我慢をすることになります。

もう一つ、請負人から契約の解除は原則できないのでしたが、注文者からは、その仕事の完成前であれば、損害を賠償して請負契約を解除することができます。上記の例ですと、B子の建物がいらなくなった場合など、建てている途中であれば、解除ができるということです。注文者にとって不要になった仕事を続けても意味がないからです(民法641条)。

【請負契約】
請負契約は成功報酬。仕事を完成させることが目的。



【同時履行】
仕事の目的物の引渡しと報酬の支払いは、同時履行の関係。


【委任契約】
委任契約は、委任者が受任者に対して法律行為(契約行為など)を行うことを委任して、受任者がそれを受託することで成立します(民643)。委任者と受任者の間の信頼関係に基づく事務処理です。 必ずしもビジネスである必要はありません。



▲このページのトップへ

基本講義10:【権利関係I】賃貸借契約:賃貸借契約と借地借家法って? +α:イメージほか

賃貸借契約は民法、借地・借家契約は特別法!

物を借りる代わりに、借主が貸主に賃料を支払うことを約定する契約をいいます。貸主には賃貸物を引き渡す義務が生じ、借主には賃料支払いの義務が生じます。

土地・建物の賃貸借においては、民法の特別法にあたる「借地借家法」が適用されます。借地借家法は、借り手を民法よりも手厚く保護しています。マスターするコツは、原則となる民法の賃貸借について、しっかりと知識を付けておくことです。

貸主は、借主が快適にその品物を使用できる様にする義務があります。故障などした場合は、修繕する義務があります。

借主には、その品物を大切に使用する義務があります(善管注意義務)。また、貸主の承諾が無いと、品物を又貸し(転貸)することはできません。

建物その他の工作物を所有するために土地に地上権又は賃借権を設定しますと、借地借家法の適用があり、借地権が発生します。

地上権は、物権です。地上権に基づく借地権は、地上権設定者(地主)の承諾なしに、譲渡・転貸(又貸しのこと)をする事ができます。

土地賃借権は、債権です。従って、賃貸人(地主)の承諾なしに土地賃借権に基づく借地権を譲渡・転貸することはできません。地主の承諾に代わる裁判所の許可を求める方法もあります。

借地権の存続期間は、最初の設定期間は、30年以上の存続期間を設定して行ないます。30年未満の期間を設定しますと、30年になります。また、30年を超える期間(40年、50年など)を設定した場合は、その期間が有効期間になります。

借地権の期間の更新については、その更新の際に、借地上に建物が存在することが原則として必要とされます。1回目の更新では20年以上、2回目以降の更新では10年以上の存続期間を設定することとなります。

借家権は、事業用・居住用を問わず、建物を賃借した場合に適用となります。しかし、建物を使用貸借(賃貸借のように賃料が発生しない、ただで借りる契約)した場合や、明らかに一時的な使用の目的で賃借したような場合は、借家権は発生しないので、注意して下さい。


<<<事例でマスター! 賃貸借と借家>>>

【民法の賃貸借契約】
民法の賃貸借の規定は、基本法としてあらゆる賃貸借契約関係につき適用されます。例えばレンタルDVD の賃貸借などです。



【借地借家法】
DVD 等の賃貸借であれば、そう大きな問題はなさそうですが、土地や建物の賃貸借になると、人々の居住関係に根ざす事柄であり、借賃も多大なものとなります。またトラブル発生の可能性も大きいので、民法のほか に特別法として「借地借家法」を設けています。


【不動産賃借権の対抗力】
不動産の賃借権は、登記が第三者対抗力となります。賃借権は債権であり、大家さん(貸主)と店子(借主)の間では賃借権 を主張できても、借家を買い受けた第三者には対抗できません。それで、この賃借権の登記をすることで第三者対抗力としました。
ですが、賃借権は債権であって賃貸人には登記の協力義務がなく、実際には賃借権の登記はほとんど行われていません。 そこで特別法である借地借家法で、登記以外の方法(借地権:借地上の建物の登記、借家権:建物の引渡し)で対抗要件を定めています。



▲このページのトップへ

基本講義11:【権利関係J】保証契約:連帯保証と連帯債務って? +α:イメージほか

連帯保証とは!

「保証」とは、お金を借りる際などに、イザ払えなくなった事態を想定して、変わりに債務を支払う旨お金の貸主本人と保証人との間で契約されるものです。

「抵当権」等の物的担保と区別して、「人的担保」といわれます。

アパートを借りる際などにも、家賃を支払えなくなった場合など困りますので、保証人を立てますね。

「連帯」と付いた保証人、連帯保証人は、ほとんど債務者と同じような責任を負った保証人ということができます。

B子がA子からお金を借りる際に、C子に保証人になってもらいました。

その後B子が支払わないので、A子は保証人であるC子に請求をしてきました。

C子としては、「まずB子に請求してチョーダイ」というように、反論ができますね(催告の抗弁権)。自分自身の借金ではありませんので。

ただし、C子が「連帯保証人」だった場合はどうでしょうか。「連帯保証人」のばあいは、このように「先にB子に請求してチョーダイ」というように反論することは許されません。

「催告の抗弁権」が許されず、また、「検索の抗弁権(保証人が主たる債務者に弁済の資力があり、かつ執行が容易であることを証明したときは、債権者はまず主たる債務者の財産 について執行をしなければならないという抗弁権)」についても、保証人ならOKでも、連帯保証人の場合は許されないのです。「連帯保証人にならない方がいいですよ」とよく いわれるゆえんです。逆に、自分が債権者だったら、保証人よりも連帯保証人の方が居てもらってありがたい、ということになります。

連帯債務とは!

会社の同僚A子B子C子が、昼休みに3人で一緒にファミリーレストランに行きました。3人でそれぞれワンコインランチ(500円)を注文しました。食事の途中で、 会社から急ぎの用事の電話が入り、その処理のためにB子とC子の2人が急いで食事を済ませ、先に会社に戻りました。その後、A子が一人で会計することになりました。 お昼は混んでいるので、「個別でのお会計はご遠慮ください」と、レジには張り紙があります。

この時、ファミリーレストランの会計では、1500円(B子とC子は急いでいたので会計しないで帰りました)を支払いますが、A子は「私が食べたのは1人前なので、 500円しか払いません」とその場で言えるでしょうか。答は「ムリ」です。この場合のお昼代1500円は、連帯債務となります。ファミリーレストラン側は、1グループ1会計の 計算で、A子一人に全額1500円を請求することができるのです。連帯債務の仕組みは、債権者側(ファミレス)にとって便利な制度です。

そうしますと、B子とC子が悪いのではないですが、A子は果たして1500円を全額負担したままなのでしょうか。そのようなことはありません。A子はファミレスで とりあえず全額を支払い(弁済)し、連帯債務を消滅させます。その後で、会社に戻って、B子とC子から500円ずつもらえば解決ですね(これを求償といいます)。

【「連帯」が付いた保証人】
連帯保証人は、ほとんど債務者と同じような責任を負った保証人ということができます。

普通の保証人には、「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」があります。




連帯保証人には、それがありません!!













【連帯債務は全員で負担】
A子はあとで求償すればOK!!



▲このページのトップへ

基本講義12:【権利関係K】相続ってどんなもの? +α:イメージほか

「誰が相続するの?」「何を相続するの?」「いつ相続するの?」

自然人(普通の人間。会社などの団体は、法人といいます。)が死亡しますと、相続が発生します。つまり、死亡した人(被相続人といいます)の所有していた財産を、 一定の範囲の者に配分するのです。一定の範囲の者とは、死亡した人の血族です。詳しくいいますと、死亡した人の配偶者(夫、奥さん)、子供、或いは父母等です。

相続人にも相続する順位があります。配偶者は、被相続人と生計を共にしていたということで、必ず相続人になります。第一順位は、子供です。被相続人の父母は、被相続人に 子供がいなかったという場合に、相続人となります。最後は、兄弟姉妹です。

相続人が決まりますと、次に「総財産のうち、誰がどのくらいずつもらえるのか」という問題が出てきます。配偶者だけのときは、配偶者が全部もらいます。配偶者と、子供が 1人いるときは、それぞれ半分ずつもらいます。配偶者と、子供2人がいるときは、配偶者が2分の1、子供は、2人で総財産の半分なので、結局4分の1になります。配偶者と、 被相続人の母がいて、子供はいないときは、配偶者が総財産の3分の2、母は、3分の1となります。

また、民法上相続人になっていても、相続人から外されることがあります。@相続欠格:例えば被相続人を故意に殺害して、刑に処せられた者などです。当然に、相続をさせる 必要はありません。A相続廃除:被相続人を、生前に激しく虐待した者などは、被相続人の請求によりまして、相続人から外すことができます。

相続欠格者・廃除者に子供がいる場合はどうでしょうか。子供自体には非はありませんので、親に代わってその相続分を相続します(代襲相続といいます)。

また、相続人でも、家庭裁判所に申し出ることで、相続を放棄することもできます。その場合、最初から相続人でなかったことになりますので、その者に子供がいても、代襲相続は ありませんので注意しましょう。

財産を、自分の好きなように配分することはできるでしょうか。全くそのための準備をしていなかったのなら、前記のように法定相続分によって分配されます。ですが、生前に遺言 (いごん)を作成しておくことで、任意に財産が配分でき、被相続人の意思を生かすことができます。遺言は、民法によって定められた方式により作成することを要します 。

遺言によって任意に財産を分与することは可能ですが、無制限に行われては、相続人の権利が侵害されます。そこで、相続人には一定の割合で「遺留分(いりゅうぶん)」が認めら れています。この遺留分は、相続人の中でも、兄弟姉妹には認められていません。

【相続欠格】
同順位や先順位の被相続人を故意に殺害して、刑に処せられた者など。当然、相続させる 必要はありませんね。



【遺言】
遺言は、いつでも撤回することができます。その方法としては、「遺言書を破棄する」「内容的に抵触する新しい遺言書を作成する」というものがあります。

15歳以上であれば、未成年者であっても自らの意思で遺言を行うことができます。

▲このページのトップへ




Copyright(c)2018 Nakakami Ema Takkenshi Laboratory. All rights reserved.